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vol.37 スペインから森町へ移住 プラナスさん一家

掲載日 2018年12月18日
Iターン
夫婦

創作に適した場所を求めて。外国人をも魅了する茶畑と星が美しい里山

森町の中心市街地から太田川の支流・三倉川に沿うように北上すること、車で約30分。段々になった美しい茶畑と、自然に溶け込むように存在する集落があります。そこには日本人が懐かしく感じる原風景が広がります。最近、この地の星空と自然に惹かれ、観光に来たり、移住を検討したり人が少しずつ増え始めました。
スペインから森町三倉地区大久保(もりまちみくらちくおおくぼ)へ移住したプラナスさん一家も、この地に魅了されたご家族です。ご主人のフランセスクさんはスペイン・バルセロナ出身でジュエリー製作の仕事を、奥様の美智子さんは静岡県出身で現在は国際交流関係の仕事をしながら、大久保での生活を楽しんでいます。スペインでの暮らしを経て森町へ来たきっかけや、地域の魅力、暮らしで感じていることなど、奥様の美智子さんからお話を伺いました。

美智子さんがスペインへ渡った経緯や、スペインでの暮らし、日本へ移住することになったきっかけについて教えてください

11歳までは駿東郡長泉町(すんとうぐんながいずみちょう)で過ごし、その後、家族で袋井(ふくろい)へ。就職後は、浜松や袋井で生活していました。スペインで料理を学び、奥様はバルセロナ出身というオーナーが営むお店でアルバイトをしたことからスペインに興味を持つように。陶芸を勉強したいと思っていたので、1996年にアートが盛んなスペイン・バルセロナへ渡りました。
1年で帰国するつもりでバルセロナの陶芸学校へ入学しましたが、もっと勉強したいという想いが強く、滞在期間を延長。共通の友人を通じて、ジュエリー職人であった夫と出会い、2000年に結婚しました。バルセロナ中心部は活気があり、アーティストも多かったのですが、暮らしやすさを考え、郊外へ移住。その後もそれぞれ特徴ある土地に惹かれ、自然公園の中や地中海を一望できるトレーラーハウス、海も山もある別荘地、15世紀の当時の建物など、さまざまな土地へ引っ越しを繰り返していました。
2008年、長男が誕生。将来のことを考えると、スペインより、義務教育が充実している日本の方が子どもにはよいのではないか、また、異文化の中で生活することはお互いを豊かにするとともに創作活動にもプラスになると思うようになりました。日本へは、時々主人とともに訪れ、観光も兼ねて各地のアーティストの工房も訪ねていたのですが、刺激を受ける部分も多かったようです。2009年、家族で日本へ。家が見つかるまでは、私の袋井の実家へ身を寄せていました。

森町への移住を選んだのはなぜですか?

新居の条件は、「一軒家であること」と「自然が豊かなところ」。袋井や掛川近辺で探していました。移住体験ツアーにも参加し、古民家も見学しましたが、なかなかいい物件が見つかりませんでした。2014年、森町への移住支援をされている方の紹介で、今の家に出合いました。大久保の美しい里山風景、築150年以上経過していると言われる木組みが見事な古民家、この土地と家に夫婦ともどもひと目惚れ。入居は、購入が前提で、まずはしばらく住んでみてとのこと。今まで定住を考えたことはありませんでしたが、ここでならと思い、入居を決めました。
大久保の人々は、外国人だからと距離を作るのではなく、「自分たちも覚えなきゃね」とおじいちゃんが簡単なスペイン語の挨拶を覚えてくださって、気軽に声をかけてくれます。スペインから友人が遊びに来てくれた時も、道であったらスペイン語で挨拶をしてくれるんです。夫も地域の草刈りや茶農家へ手伝いに行くなど、地域との関わりを大切にしています。
大久保は、本当に自然と星空がきれいなところ。夫はここを「日本を感じる場所」と言っています。里山は不便ではと思う人もいるかもしれませんが、車社会である静岡なら、どこに住んでいても車で15〜30分程度のところへ買い物へ出掛けると思います。それはここも同じ。森町は、「遠州の小京都」とも称され、自然と歴史と文化がぎゅっと詰まった場所です。時々、長男と一緒に市街地の商店へ、麹屋さんの味噌を買いに行ったり、葛アイスを食べに行ったりします。スーパーではなんでも手に入りますが、森町は温かみを感じられる個人商店が充実しているんです。人との触れ合いを感じながら暮らしていくことは、子どもにとって記憶に残る想い出になるのではと思っています。

地域の魅力を発信するための活動について教えてください

2016年から毎年8月に、バルセロナの友人シェフを招き、地元の素材、食材、空間などをテーマに、スペインと日本の融合をこころみる異文化交流を企画しています。
また、大久保地区は、静岡県が実施する「美しい茶園でつながるプロジェクト」のモデル地区の一つにもなっているのですが、「Felicidad "フェリシダ" 幸せ」という動画のナレーションを夫が担当させていただきました。この動画をスペインの友人に拡散したところ、「森町に来たい」と言ってくれた友人がたくさんいたんです! この動画を機に、なにげない日常生活の中にその土地の文化を感じると、すでにスペインから森町まで足を運んでくれた友人もいます。森町は、外国の方にも楽しみながら来てもらえる場所だと思うんです。その他にも、地域団体や小学校、幼稚園などで、異文化講座のお話をいただいたり、作家同士で共同のイベントを開催したりしています。暁雲窯の赤焼き(森町の工芸品・森山焼の一つ)と、夫のジュエリーのコラボレーション作品も生まれているんですよ。
新東名高速道路の開通に伴い、森町へのアクセスがよくなりました。最近、少しずつにぎわいを取り戻しつつありますが、まだ若い人が好むようなコンテンツは少ないような気がします。もっと移住者が増えて、一緒に賑わいを創出する場を作っていければと思っています。

森町や大久保の魅力、移住を考えている方へのアドバイスをお願いします

大久保地区は、古くからの伝統・信仰を受け継いできた地域です。しかし、高齢化により継続が困難になり、大切にされてきた伝統神事が最近、途絶えてしまいました。面倒に思われる伝統神事かもしれませんが、それを通じて、地域住民が集まり、関われる場がもてる貴重な機会。実は、夫の生まれ故郷・バルセロナでも、同様の文化があったそうなんです。夫の故郷でも途絶えてしまった文化なので、ここでの風習が懐かしく感じると話していました。夫婦ともに残念に思っているところです。
大久保がある三倉地区は、住んでいる住民が本当に優しくて、親切で、面白い方ばかり。だからといって、干渉しすぎることもなく、ほどよい距離感だと思います。
今、小学生4年生の長男も家での時間を満喫していて、薪割りなどの家の手伝いをしたり、ものづくりや読書をしたりと暮らしを楽しみ。訪ねてきた友人達に大久保を案内するのが大好きです。とても落ち着くし、心が満たされる暮らしを送ることができます。
森町には、農家民宿など内と外との交流の場もあります。大久保の風景を楽しみに、ぜひ遊びにきてみてくださいね。