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vol.4 人力車による観光案内人・島川さん

掲載日 2020年03月10日

ピンチをチャンスに!観光人力車との出合いがもたらしたもの

壁に四角い平瓦を並べて張り、その継ぎ目を漆喰でかまぼこ型に盛り上げた「なまこ壁」。日本の伝統的な壁塗り方法で、江戸時代に防火・防湿・防虫などを目的として普及したと言われています。松崎町は「なまこ壁通り」という場所があるほど、なまこ壁が多く残る地域。「なまこ壁通り」は観光名所の一つとなっています。
そんな風情ある松崎町の街並みを人力車で観光案内してくれるのが、東京都から松崎町へ移住した島川誠さん。観光人力車を始めることになった経緯や、松崎町での暮らし、今後のことなどについてお話を伺いました。

松崎町への移住について教えてください

東京都中野区で生まれ、建設関係の仕事を20年ほどしていました。東京での生活と仕事のスタイルに疑問とストレスを抱えながら日々を送っていましたが、2017年9月に潰瘍性大腸炎を発症。体に限界を感じ、仕事を辞めることにしました。この先、どうしようかと考えたところ、暖かくて自然が多いところへ移住しようという結論に至ります。千葉県、静岡県、そして出張でよく訪れていた長崎県を移住候補地として、東京・有楽町の「ふるさと回帰支援センター」を移住相談のために訪ねました。
センターで静岡県のブースを訪れ、相談したところ、松崎町を紹介されました。松崎町で移住支援をしている「さとづくり総合研究所」の伊東さんを紹介していただき、2018年5月、旅行も兼ねて4泊5日で松崎町を訪問。伊東さんを通じて、農業をしている方、地域おこし協力隊の方、海外から松崎町へ移住してきた方など、10人以上の方にお会いしてお話をしたのではないかと思います。町民の方々の温かさ、そしてゆったりとした時間の流れを感じ、居心地のよさを感じました。
移住候補地だった千葉県や長崎県にも行く予定でしたが、その時にはすでに気持ちは松崎町に傾いていました。伊東さんに家探しをお願いし、2018年7月に松崎町へ移住しました。

お仕事について教えてください

初めは松崎町で農業をしようと思っていたのですが、農業体験をさせてもらって、農家さんのお話を聞いた時、自分には向いていないかもしれないと思ったんです。
その後、「明治商家 中瀬邸」で、展示されていた人力車を見て、「これだ!」と思いました。かつて、松崎町役場職員の有志団体「人力車伊豆松崎組」が週末に町内で人力車を引き、お客を乗せていたことがあったそうです。松崎町役場に相談したところ、人力車と車夫用の法被一式を無償で貸してくれることになりました。
しばらくは知り合いを乗せるなどして練習をし、2018年12月に本格的に観光人力車としての仕事をスタート。ただ、松崎町だけでは生活を成り立たせるほどの仕事がなかったので、下田市のお祭りの実行委員会の方を紹介してもらったり、修善寺の温泉組合の取りまとめ役の方を紹介してもらったりするなど、町外にも範囲を広げてみることにしました。人の繋がりが強いことが伊豆半島の魅力。今では松崎と修善寺の2ヶ所を拠点として、時には下田市のお祭りに参加するなどして観光人力車を営み、生計を立てることができるようになりました。

歴史・文化・景観が素晴らしい伊豆で観光人力車を営むやりがい

松崎をはじめ、修善寺や下田は歴史や文化、景観ともに素晴らしい町。もともと歴史が好きなこともあり、人力車で案内していてもとてもやりがいを感じます。松崎町の方々は「がんばって」「応援しているよ」と声をかけてくれますし、お客様を乗せて案内していても皆さんが気さくに挨拶をしてくれるんです。訪れる方にこの町をもっと好きになってもらえたら嬉しいですね。
私の場合、潰瘍性大腸炎という病気があるということが悩みの種でした。でも、移住後、人力車を運行することで、出会いが増え、同じ病気の方と悩みを共有できるコミュニティを作ることができました。
今、人力車は2台になり、1台は「伊豆まつざき荘」に、もう1台は修善寺の新井旅館に置かせてもらっています。人力車を見た宿泊客からの問い合わせも多いですね。
最近では、地元高校の女の子から、「人力車をやりたい」という嬉しい言葉をいただきました。実際、彼女たちには、お祭りなどのイベントの時などにお子さんを乗せる車夫として参加してもらっています。メディアにも取り上げていただくなど、今、少しずつ輪が広がってきています。他県で人力車を運行している方からも、「自分たちの町が閑散期の時に伊豆で活動できないか」と声をかけていただきました。まだ具体的には動き出していませんが、伊豆の関係人口が増えていくと嬉しいですね。
今後は、伊豆半島の他の地域でも人力車を運行し、町の文化を知ってもらうとともに、地元の車夫の育成にも繋げられたらなと思います。

今、移住を含めて、生き方や働き方を模索している方へ

松崎町は、海、山、川といった豊富な自然資源があり、町民一人ひとりが温厚でありながらも多彩で、パワーがあります。郷土愛も強く、松崎町の将来をよくしようと考えている方が多いですね。松崎町以外の修善寺や下田でも人力車の活動をしていますが、町外での活動に対しても応援してくれるんですよ。
私は、松崎町へ移住してきてから観光人力車を始めるまでの2カ月ほどの間、自分にできることを模索し、ともかく多くの人に会いました。「さとづくり総合研究所」の伊東さんに人を紹介してもらったり、飲食店に入ってお店で話を聞いたりしました。話を聞くことでこれからの生き方、働き方のヒントを得ることができました。
「ピンチはチャンス」と思っています。以前はピンチはストレスでしかありませんでしたが、今は楽しむようにしています。私の場合、自然があり、温暖な気候で、ストレスを感じない場所ということが移住先の条件でした。病気がきっかけでの移住でしたが、移住後の暮らしは空気もよく、食材も新鮮、温泉治療もでき、体調も随分と安定しました。
松崎町の方々からは野菜や果物、魚介類を分けていただいたり、時には夕食をいただき、泊まらせていただいたりすることも。すっかり地域になじんでいます。皆さんのおかげで、自分らしい働き方、生き方ができるようになりました。こうした毎日に感謝しながら、伊豆に恩返しできるように活動していきたいと思っています。