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vol.2 ゲストハウス「Tagore Harbor Hostel」経営/まちづくり会社「REIVER」代表・鈴木智博さん

掲載日 2020年03月02日

沼津市戸田発、行動を起こさないと何も始まらない、若手建築家の挑戦

三島から伊豆半島を修善寺まで下り、西へ向かい突き当たったとこにある旧・戸田村。2005年に沼津市と合併し、現在では沼津市戸田として地名を残しています。戸田漁港、戸田温泉、御浜岬海水浴場を抱える港町でありながらも、三方を山に囲まれ、のどかな人々の営みが感じられる場所です。
1級建築士・鈴木智博さんは、戸田にある空き旅館のリノベーションを手掛け、2019年7月にゲストハウス「Tagore Harbor Hostel(タゴール・ハーバーホステル)」をオープンしました。都会では味わえない戸田の美しい景色と非日常に魅せられた鈴木さんにお話を伺いました。

戸田での生活を始めた経緯を教えてください

東京で生まれ、東京の大学で建築デザインの勉強をした後、都内の建築設計会社に就職しました。会社では、病院や大学の建設や、再開発など比較的大きなプロジェクトをはじめ、地方創生プロジェクト、インドネシア赴任など様々な経験をしてきました。インドネシア赴任中には、トランスジェンダーのためのアンダーウェアを扱う会社を立ち上げたことも。私生活では良き伴侶に恵まれ、充実した日々を送っていました。ただ、多忙ではありながらも、勤務時間が制限され、満足のいく仕事ができにくくなっていました。「自分がいるからこそできる仕事をしたい」「社名ではなく個人としてお客様と向き合いたい」、そんな思いが強くなり、このまま会社勤めをするよりはいずれは独立をしたいと思うようになっていきました。
そんな時、沼津市役所から「戸田の中心地に長らく放置されている空き家があるから、それをリノベーションしてみないか」と声をかけられました。建築家としてできることがあればと思い、会社を辞め、戸田へ移住してきました。

お仕事について教えてください

海・川・山が融合するこの土地は、虹を頻繁に見ることができ、そして海に沈む夕暮れがとてもきれいな場所。開発されていない原風景が今もなお残り、少し山へ上がれば富士山を望むことができます。そんな戸田の魅力を丸ごと感じてもらえる、非日常的なゲストハウスを企画しました。
また、沼津市のリノベーションスクールに参加したことが縁でネットワークも広がり、まちづくり会社「REIVER」を設立しました。ゲストハウスを運営しつつ、建築家として首都圏や沼津などでも活動しています。他にも工具なしで簡単に組み立てられる木製モバイル屋台「TINY STAND」も企画。沼津市内で開催されるイベントなどでも使ってもらうほか、一般向けにレンタル・販売も行っているため全国各地からイベント等で需要があります。
首都圏での仕事があったり、妻が里帰り出産中だったりしているので、現在、私は週の半分を戸田で、残りの半分を自分の実家がある東京、妻の実家がある千葉で過ごすなど、行き来している状態です。いずれは家族でこちらに住めたらと考えています。戸田は家賃が本当に安く、東京だと40~50万円の家賃の広さの家が格安で借りられることもあるんですよ。

戸田ならではのゲストハウスのあり方を模索する

海辺の空き旅館をリノベーションしたゲストハウス「Tagore Harbor Hostel」は、内装の木材に地元・戸田の木材や同じ伊豆の松崎町の木材など、静岡県産のものを中心に使用。ゲストハウスとしてだけではなく、昼間はカフェ、夜はバーとしても営業しています。首都圏での暮らしに疲れた人を癒すための場所でもあり、インバウンド向けの場所としても考えています。3〜4割は外国人の利用者。この近辺には夜オープンしているお店がほとんどないので、宿泊客と地元の人が夜、ここで飲みながら集える場にもなれればと思っています。
ゲストハウスのすぐ前には、穏やかな港の海が広がり、海の水質も日本トップクラス。海水浴シーズンには、海水浴場へ行く渡し舟の起点にもなっています。ここで着替えて食事をしてもらうこともできます。釣りやサイクリング、キャンプなどのレジャーも楽しめますし、無線LANも利用できるので便利ですよ。
スタッフを専門の求人サイトで募集したところ、ワーキングホリデーで来日しているヨーロッパの外国人を中心に100人以上の応募がありました。常駐のスタッフの他、2週間〜1か月程度の短期スタッフを雇い、館内の清掃や食事作りの他、戸田の風景写真を撮影し、SNSで情報発信をしてもらっています。ここが新しいカタチの観光案内所になれたらと考えているんです。面接を機に戸田に来てくれる方もいますし、こういった形で戸田を訪れる人が増えるのもいいなと思っています。
今後も戸田の中にまちめぐりができる拠点となるゲストハウスを作り、まち全体をホテルのようにしていけたらいいですね。

今、移住を含めて、生き方や働き方を模索している方へ

「Tagore Harbor Hostel」の名前の由来になっているTagore(タゴール)は、インドの詩人・思想家・作曲家。彼の詩集の中の言葉に「立って水面を見つめるだけでは、海を渡ることはできない」という一文があります。行動を起こさないと、何も始まらないと思うんです。
最近、戸田には、さまざまな人が集まってきています。テレビ番組を通じて戸田へ移住した有名人の方もいらっしゃいますし、戸田の景色に魅せられて移住した写真家の方、戸田の特産品でもある世界最大のカニ・タカアシガニの殻を使って、オーストラリアの先住民の楽器・ディジュリドゥを作っている方も。山に囲まれ、創作活動に集中しやすいですし、ゆくゆくはアーティストの町になりそうです。
首都圏での打ち合わせの後、戸田に戻り、海に沈む美しい夕暮れを見ると、心が落ち着きます。東京でストレスを感じながら暮らしていたんだなと改めて気づきました。戸田は人と人がつながりやすいところでもあります。港町であるからか、面白くてオープンな性格の方が多い印象です。具体的にやりたいことが決まっていなくても、一緒にどうしたらよいか考えてくれる方も多く、様々な可能性を広げることができる場所だと思いますよ。

店舗名
Tagore Harbor Hostel
住所
〒410-3402
静岡県沼津市戸田321-17
電話連絡
070-3247-3697